【血液?汗?】b型肝炎ってどうやって感染するの?

b型肝炎は感染によってかかる病気であり、予防接種によって防ぐことのできる病気でもあります。日本では2016年から定期予防接種が始まりました。しかしb型肝炎についてなじみのない人もいるでしょうし、予防接種を受けていない人は感染経路がわからなければ予防が難しいでしょう。

そこで、b型肝炎の概要や感染経路、b型肝炎ワクチンなどの予防策について解説します。

b型肝炎って何?

b型肝炎は、b型肝炎ウイルス(HBV)によって感染する病気です。1964年にオーストラリアの先住民の血清から新しい抗原(免疫反応を起こす物質のこと)が見つかり、同じ抗原が複数回輸血を受けている血友病の患者の血清にも見られました。

その後、この抗原が3つあるb型肝炎の抗原のうちの1つだとわかりました。この抗原はHBS抗原と呼ばれ、b型肝炎ウイルスに感染しているかを示す代表的な指針となっています。血液検査によってHBS抗原が陽性だとわかれば、b型肝炎ウイルスに感染していることを示します。

ちなみに、急性肝炎の場合は肝炎が治るとHBS抗原は無くなるのが一般的ですが、免疫力が下がっていると血液中に長く残る場合があります。このように、b型肝炎ウイルスに持続的に感染している人を「HBVキャリア」といいます。

ただし、全てのHBVキャリアの人がb型肝炎を発症しているわけではなく、肝機能の異常や症状が無い「無症候性キャリア」の人もいます。b型肝炎ウイルスの主な感染経路として、b型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた子どもが感染する母子感染(垂直感染)と、注射器の使いまわしや性交渉などの母子感染以外の経路による水平感染があります。

母子感染(垂直感染)について

日本のb型肝炎ウイルスの感染者の多くは、母子感染を防止する対策がとられる前に生まれた人たちです。母親がb型肝炎ウイルスに感染している場合、赤ちゃんが産道を通る時に血液から感染するケースがあります。赤ちゃんは免疫機能がまだ発達していないので、b型肝炎ウイルスを異物として認識できなかったり、ウイルスを排除できずにそのままウイルスが肝細胞に住み着いてしまう場合があります。

すると、その子どもは無症候性キャリアになってしまいます。その後、思春期から30代になって免疫機能が成熟すると、b型肝炎ウイルスを体の外に排除しようとします。その際、肝細胞まで攻撃してしまって肝炎を発症してしまいます。

しかしながら、肝炎を発症した人の多くは症状が軽く肝障害が進むこともあまりありませんが、b型肝炎ウイルスに感染したうちの10%程度の人は慢性肝炎になってしまいます。さらに、b型肝炎ウイルスに感染したうちの1%から2%位の人が肝硬変や肝がんになります。

なお、現在の日本では母子感染を防ぐための対策が講じられているので、新規の母子感染はほとんど発生していません。

水平感染について

以前は予防接種で注射器を使いまわしたり、医療従事者が針刺し事故を起こしたり、b型肝炎ウイルスに汚染した血液を輸血されることで水平感染が起こっていました。しかし、注射器を使いまわさないなどの医療環境改善や医療従事者のワクチン接種、輸血に対するしかるべき検査によってこのような水平感染はほとんど起こらなくなりました。

しかし、不衛生な器具によるタトゥーやピアスの穴開け、性行為や注射器をシェアして麻薬を注射した場合などに水平感染は起こっています。特に多いのは性行為の際に起こる感染で、コンドームを使用しなかったために起こったケースが多いです。

ただし、コンドームを使っても必ずb型肝炎ウイルスに感染しないわけではないので、見ず知らずの人や多数の人と性行為をするのは避けた方が良いでしょう。夫や妻、恋人などがHBVキャリアの場合は、b型肝炎ワクチンを接種することで感染を未然に防ぐことができます。

大人になってから初めてb型肝炎ウイルスに感染した場合、70%から80%の人は肝炎にはかからずに自然に治ります。急性肝炎にかかった場合も、大半の人は治ります。ただし、1%から2%程度の人は劇症肝炎になる場合があり、まれに死亡するケースもあります。

なお、近年増加傾向にあるジェノタイプAのb型肝炎ウイルスに感染すると、慢性肝炎になる確率が高くなります。

血液や精液以外での感染

上記の垂直感染や水平感染はよく知られていて、手洗いやうがいなどの一般的な対策をしていればb型肝炎ウイルスに感染することはないといわれていました。しかし近年では、保育所での集団感染や家庭内での感染が知られるようになりました。

つまり血液や精液以外にも、唾液や汗や涙などの体液によっても感染する可能性があるということです。例えば、HBVキャリアの人の唾液中にあるb型肝炎ウイルスと、このキャリアから感染した人から検出されたb型肝炎ウイルスは同一のものであると証明されており、唾液によって感染する可能性があることを示しています。

そのため、歯科医師などは唾液や口の粘膜に触れることが多いので、他の診療科の医師よりもb型肝炎ウイルスに感染して治った既往感染者が多いことがわかりました。

b型肝炎ワクチン

世界的には大半の国で全国民にb型肝炎ワクチンを接種していますので、そのような国ではb型肝炎ウイルスの水平感染は少ないです。しかし日本では以前、母親がキャリアである新生児にのみワクチンを接種していました。

医療従事者や救急隊員、警察官なども積極的にb型肝炎ワクチンを接種すべきと推奨されています。その後日本でも、2016年からb型肝炎ワクチンを定期接種するようになりました。以前は自費による任意接種だったため他のワクチンと比べるとなじみの少ないワクチンですが、血液や精液以外でもb型肝炎ワクチンに感染する可能性はあるので忘れずに接種しましょう。

母親がHBVキャリアではない場合は、生後2か月から合計3回b型肝炎ワクチンを接種します。また、思春期以降の性感染や医療従事者の感染を防ぐ場合なども、ワクチンは3回接種します。

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ワクチン以外で感染予防のためにできること

b型肝炎に感染している場合やHBVキャリアの人は、献血をしてはいけません。また、何かに血液がついた場合は、よく洗い流すか血液が付いた部分を露出しないようにくるんで捨てます。ひげそりや歯ブラシなどの血液が付く可能性のあるものは、共用してはいけません。

b型肝炎以外の診療を受ける時や歯医者に行く場合は、b型肝炎に感染していることを伝えることで医療従事者への水平感染を防げます。出血をした時は可能な限り自分で処置し、他の人に処置してもらう場合は相手に血液や体液がつかないように気を付けましょう。

トイレに行ったら水で念入りに手を洗ったり、口移しで飲食物を食べさせたりしないことも重要です。性行為で感染する可能性が高いのでコンドームを使うことは大事ですが必ず感染が防げるわけではないので、パートナーにb型肝炎ワクチンを接種してもらうとよいでしょう。

参考資料:アディーレ法律事務所 - B型肝炎 訴訟http://www.adire-bkan.jp/