足立区でb型肝炎のワクチンが定期摂取に。押さえておきたいポイント

2016年10月1日から、足立区でb型肝炎ワクチン予防接種が定期接種になりました。「b型肝炎」という病気は、名前だけなら聞いたことのある方が多いかもしれません。しかし、実際にどんな病気で、どんなことに気をつければならないかといった、詳しいことについては知らない方が多いのではないでしょうか。

b型肝炎について押さえておきたい情報をまとめました。

そもそもb型肝炎ってどんな病気?

b型肝炎は、b型肝炎ウイルス(HBV)を原因物質として発症する、世界で最も多発している肝臓の病気です。ウイルスは世界中に分布しており、HBV感染者の分布には大きな地域差があります。東南アジアやアフリカでは感染者が人口の8%を上回る国もありますが、日本やヨーロッパ、北米などの地域では感染者が人口の2%以下の国が多いです。

感染経路としては、注射針や入れ墨の器具を消毒せずに使い回した場合や輸血などによる感染や、性交渉による感染、妊婦から新生児への母子感染などがあります。症状は、初期症状として倦怠感や疲労感、食欲低下が発生し、その後は代表的な症状として嘔気嘔吐や腹痛が発生します。

急性期には入院が必要になり、原則として安静加療が必要になる重い病気です。急性b型肝炎に罹患した場合、通常の治療のほか、アルコールや喫煙、油分の多い食事などをやめて肝臓の負担を減らす必要があります。慢性のb型肝炎の場合、肝臓がんや肝硬変などの重篤な症状につながる危険性もあるので、早期の治療が欠かせません。

b型肝炎を予防する方法としてはワクチン接種を行うことにくわえ、一般的な性感染症の予防方法と同じく、不特定多数の人との性交渉を避けること、コンドーム等を正しく使用することが挙げられます。海外では母子感染を予防するため、乳児期にb型肝炎のワクチン接種を行う国が多いです。

b型肝炎の感染者が多い国では、妊婦がb型肝炎に感染していることを知らずに出産し、母子感染で新生児がb型肝炎に感染することでウイルスが拡散していくというケースが多いです。

日本でb型肝炎が問題化した歴史

日本では1988年ごろまでに、集団予防接種における注射針の使い回しなどによってb型肝炎ウイルスが蔓延した歴史的経緯があります。現在、b型肝炎の持続感染者(キャリア)は約150万人と推定されており、この内、集団予防接種を原因とした感染者は30%前後と言われています。

集団予防接種によるb型肝炎の蔓延については国の責任を問う裁判が展開されており、2011年6月28日に国と原告との間で基本合意が締結し、2012年1月13日に特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法が施行されました。

この和解によって、国はb型ウイルスに持続感染している患者のうち、1948年7月1日から1988年1月27日の期間で満7歳になるまでに集団予防接種を受けており、集団予防接種以外の感染原因(母子感染・輸血等)がない者に対して給付金等を支給することになっています。

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気づかない場合もあるb型肝炎

b型肝炎は、急性の場合にはさまざまな症状が出る場合もあるのですが、実は症状が出ず、自分がb型肝炎に感染していることに全く気づかないというケースも考えられます。これは、b型肝炎が「症状のない感染」と呼ばれる理由です。

自分でも気づかないうちにb型肝炎に感染していた場合、性交渉などを通じて他人にウイルスを拡散してしまう恐れがあり、非常に危険です。ウイルスが活発でない場合には症状が出ず、見かけ上は健康な状態で生活できるケースもありますが、ウイルスを持っている限りは他人に感染させるリスクが常に伴います。

そのため、定期健診を受けて自分がb型肝炎に感染しているかどうかを確かめることは重要です。b型肝炎の慢性患者の中には、感染から10年以上後に受けた検査ではじめてb型肝炎の診断を下されて驚いた、という人も珍しくありません。

感染を防ぐためには性交渉を行うパートナーも同時に検診を受けておくことが必要です。

妊娠中の女性は、母子感染のリスクがあるため、出産の前にb型肝炎の検査を受けることが推奨されています。もし妊婦がb型肝炎に感染していることが発覚したら、新生児への感染を防ぐための処置を医師が行うことになります。

現在、慢性のb型肝炎を治療によって完治することはできません。ただし、投薬によってウイルスの進行を遅れさせることで身体へのダメージを防ぐ方法はあり、一般的にはその方法がとられています。b型肝炎を完治させるための治療法は、今のところ開発途中です。

足立区で定期接種になった予防接種

足立区では、生後間もない乳児に定期的なb型肝炎の予防接種を行うことになりました。まず、生後2か月の前日から1歳の誕生日の前日までに3回接種します。さらに、27日以上の間隔で2回接種した後、初回接種から139日以上の間隔をおいて1回追加接種します。

この予防接種によって、b型肝炎ウイルスへの感染を防ぎます。予防接種は大人になってからも受けられますが、乳児はウイルスへの耐性が弱いため、ワクチンで予防することがとくに重要になります。乳児のうちに予防接種を受けておくことは、生涯にわたってb型肝炎への感染リスクを軽減する意味があるので、強く推奨されています。

複数回の予防接種は医師の指示通りに行わなければ効果を発揮しないので、子どもに予防接種を受けさせる際には必ず医療機関で相談するようにしましょう。

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b型肝炎に備えよう

b型肝炎は、身近な人から感染するリスクもあると同時に、自分が感染しても気づかない可能性があるため、非常に厄介な病気です。まずは、自分が感染していないかどうかを調べましょう。保健所や医療機関に問い合わせれば、血液検査等で感染の有無を調べることができます。

自分が感染していなかった場合でも、パートナー等から感染することが考えられます。性交渉の際にはコンドームを正しく使用するなど、リスク回避を万全にしましょう。海外旅行や出張へ行く場合なども、現地の情報を事前に調べておき、b型肝炎の感染リスクが高いと判断される場合には医療機関で予防接種を受けておくことが必須です。

足立区では予防接種が定期接種になりましたが、乳児のうちから感染を予防しておくことも重要です。足立区外にお住まいの方も、お子さんの健康のために予防接種をご検討ください。